大学マネジメント・業務スキル基準表
大学における同一労働同一賃金への対応について
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同一労働同一賃金に関する施策概要
- 働き方改革を推進するための関係法律の整備として、「パートタイム・有期雇用労働法」が2020年4月1日に施行されます。
- この法律により、同一企業内における正社員と非正規社員の間で、不合理な待遇差を設けるこが禁止されます。また、非正規社員は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができ、これに対し事業主は説明する義務が生じます。
- 厚生労働省はこのための具体的な方法として、各企業が職務分析を実施することで(1)非正規社員と正社員の働き方の違いを明らかにし、(2)職務分析に基づく職務記述書などの説明資料を提示することを推奨しています。
- (1)非正規社員と正社員を均衡待遇とする
- 非正規社員の待遇を、正社員との働き方の違いに応じた「均衡(バランス)」待遇とするとき、働き方の違いは、次の2つの要件で比較します。
- 1)職務の内容(業務の内容と責任の程度)
- 2)人材活用の仕組みや運用など(転勤や配置転換の有無と範囲)
- (2)非正規社員への説明責任を果たす
- 説明資料として、職務分析に基づいた職務説明書を示すことで、職務の内容を考慮した根拠ある待遇であることが説明できる。
大学業務の運営状況
大学基幹業務における定型的業務の割合は非常に高く、大学職員の年間を通した仕事の構成比率は、「定型作業が51%と過半を占め、2〜3年の習熟期間で対応可能な軽習熟業務が19%となっている。仕事の70%が、依然として定型作業と軽習熟業務(軽度の業務)によって占められている」また「相応の経験年数を積んだ一般職員(任期の定めのない職員)であっても、仕事の過半数が定型作業となっている」との調査報告があります(図1)。業務量は年々増大し、職員数が抑制される中、専任職員と非専任職員の業務役割が不明確なまま、専任職員の多くが役職に係わらず定型的な日常業務に忙殺され、専任職員と非専任職員が同じような仕事をしているという状況が多くの大学の実情ではないでしょうか。
図1 年間を通じた職員業務の構成比
(加藤 毅「大学職員の職務特性と育成環境」大学研究、42号、2016.)
大学業務基準表の活用方法
大学業務基準表は大学業務の全領域を体系化し、業務遂行に関する大学職員の役割像(目標値)を予め設定しています。このデータを活用し自学業務に即してカスタマイズすることで、自学業務の体系化と求められる業務役割(目標値)の明確化を効率的に行うことが可能です。この自学業務基準表を同一労働同一賃金に関する説明資料として活用することができます。
(1)業務内容と職員区分・役職に応じて求められる業務役割像の明確化
【業務内容の可視化】⇒表2「スキル項目パート」参照
- 学業務基準表は、全ての大学業務領域を4階層/カテゴリ(表1)、中項目、小項目、要素に体系化し、各作業項目(約6000項目)に関する業務遂行要件を記述のうえ難易度を設定しています。
- 業務項目の内容は自学業務体系に合わせカスタマイズすることが可能です。
表1 大学業務カテゴリ区分
【業務役割の可視化】⇒表2「スキル属性パート」参照
- 各職員区分(専任職員、契約職員、嘱託職員、派遣社員)に求められる業務役割を記述し、担当業務領域において職員区分ごとに対応すべき業務項目を明確化しています。
- 各役職(課長、主任、一般職、補助者等)に求められる業務遂行能力(スキルレベル)を、担当業務領域における業務項目の遂行度合いから明確化しています。
- スキル属性の設定基準は自学に合わせカスタマイズすることが可能です。
(2)業務役割状況の説明資料
【業務役割分析】⇒表2「業務役割分析パート」参照
- 現在の担当者/職員区分を業務項目に割り当てることで、業務役割を可視化できます。
これにより、それぞれの担当者に対し具体的な業務内容に即した業務役割状況を説明することが可能です。また、求められる業務役割(目標)との差異状況から改善ポイントを明確化し、対応策を検討することが可能です。
表2 大学業務基準表
スキル属性パートの業務役割の説明
- 作業項目(要素)ごとの「難易度」の表示例と設定の目安
- 役職に対し「必要とされるスキルレベル」(業務遂行能力)の表示例と設定の目安
- 作業項目(要素)ごとの「対応すべき職員区分」の表示例と設定の目安
早稲田大学における運用事例
早稲田大学では、2012年から人事政策の柱の一つとして大学業務基準表の活用を全学的な取組みとして推進しています。この取組みでは、専任職員、嘱託職員、契約職員、派遣社員、外部委託等の業務・役割を再定義し、限られた人的資源を有効に活用することで業務効率化と業務構造改革を行うことを目標としています。
人事制度の一環として大学業務基準表を活用することが、業務改革、人材配置、人材育成とともに、同一労働同一賃金を実現するための共通基盤となります。
各課における年間運用スケジュール |
1月〜3月 |
・担当業務領域および当該スキル項目等の見直し ⇒業務見直し
・業務役割分析
・業務委託化検討 ⇒業務見直し |
5月 |
・スキルレベル診断(自己診断・上司補正) ⇒人材育成(OJT) |
6月 |
*人事異動 ⇒人員配置の見直し |
7月 |
・スキルレベル診断内容を人事部提出
・人事異動にともなう課内資料(基準表関係帳票)の更新 |
12月 |
*人事異動 ⇒人員配置の見直し |
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